2023年11月27日(月)、スイス・ジュネーブで「第12回国連ビジネスと人権フォーラム」が開幕しました。そのオープニングプレナリーのハイレベル討論に、Climate Integrateの代表理事・平田仁子が登壇しました。
2012年から毎年開かれているこのフォーラムは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)」に基づき、さまざまなステークホルダーが参加し議論できるプラットフォームを提供しています。今年の全体テーマは、”Towards Effective Change in Implementing Obligations, Responsibilities and Remedies(義務・責任・救済措置の履行に向けた効果的な変化)”です。フォーラムは11月29日(水)まで開催されます。
今年は、「世界人権宣言」が採択されてから75周年の節目になる年です。昨年、国連総会では「清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する権利」(国連ニュースはこちら、全文はこちら)に関する決議が採択され、環境への権利が人権として初めて認められました。また、フォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官は、2023年11月15日の公開書簡において、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)における意思決定の中核に人権を位置づけることや、化石燃料のフェーズアウトを要請しています。人権保護の観点から気候変動の強化を図ることの重大性は一層高まっています。
「Looking at the past, anticipating the future」をテーマとする今年のオープニングプレナリーには、平田のほかに、国際労働機関(ILO)のCeleste Drake事務局次長、経済協力開発機構(OECD)責任ある企業行動に関する作業部会(WPRBC)のChristine Kaufmann議長、WIPO(世界知的所有権機関)のEdward Kwakwa事務局長補らが登壇しました。録画をUN Web TV(英語)で視聴することができます。
平田はスピーチで、「気候変動を加速させる営みは明らかに人権侵害」と発言し、「企業と政府がその責任を取らなければ、人権を守ることができない」と指摘しました。その上で、2022年の化石燃料消費に対する世界全体の補助金は前年比で2倍になっており、日本を含む先進国には、未だに石炭火力フェーズアウト方針を定めていない国があることを指摘し、今週からドバイで開催されるCOP28に対しては、化石燃料フェーズアウトと再生可能エネルギーへの迅速かつ大胆な転換を約束することを求め、各国政府・ビジネス・市民団体に対しては、妥協することなく人権と気候の保護に共に取り組むよう呼びかけました。